眠る前に・・・

 鬼嫁猫は、その名に恥じぬがごとく、あらゆるものを巣(ベッド)に持ち帰る習性があり、書籍、靴下、タオルなどに囲まれて眠りについている。

 その中でも鬼嫁猫お気に入りの品は書籍である。

 巣に持ち帰った書籍の多くは「みんなの朝ごはん日記」、「みんなの朝食日記」など朝ごはんに関するものばかりである。鬼嫁猫はこれらを“朝ごはん本”と呼んでいる。私が横から盗み見た限り、朝ごはん本には、おしゃれなブレッド、おいしそうな目玉焼き、ベーコンなどの写真が載せられており、その横や下には簡単な説明がつけられているようである。

 鬼嫁猫は毎晩寝る前に30分ほど朝ごはん本を読んでは、まるで目の前に朝ごはんが広げられているかのような恍惚の表情をしている。そのときに誤って電気を消そうものなら「なめんな(にゃ)」という声とともにパンチがとんでくる。もっとも、所詮猫パンチなので、かつてボクシングジムに通っていた私には効かない。

 鬼嫁猫は、毎晩、朝ごはんに関する研究を行っているわけであるが、かといって朝ごはんを作るというような野暮なことはしない。鬼嫁猫曰く、朝ごはんを作る担当は鬼嫁猫ではなく私にしたとのことである。

 解せぬところはあるが、ボスの言うことは絶対である。