平日の朝 つづき1

 鬼嫁猫はひととおりドライヤ―をかけて満足すると、芝生色のソファーに座り、朝ごはんを食べ始める。鬼嫁猫は、果物→パンの順序で食べるのがお決まりであり、果物を最重要視しているようである。鬼嫁猫によれば、まだ自身が小さかったころにお父さんがよく果物を切ってくれていたとのことであり、これがいい思い出として脳裏に焼き付いているためと思われる。

 果物の件に限らず、鬼嫁猫の父は、その世代の日本男児では考え難い優しさとマメさをもって温かな家庭を築いてきたようである。鬼嫁猫の父のことを、ここでは、敬意をこめて「ビッグキャット」と呼ぶことにする。

 鬼嫁猫は、ことあるごとに、昔はよくビッグキャットが果物を切ってくれたという話をして私の様子を窺ってくるのであるが、そのような策に屈する私ではない。ビッグキャットはビッグキャット、私は私である。鬼嫁猫の方も今のところは経過観察をしているようであり、せっせと果物を切っては冷蔵庫に入れておいてくれる。私はそれを冷蔵庫からリビングのテーブルに運ぶだけであり、この点においては私の方がやや優勢である。